
本城直季
鳥のような俯瞰の視点と、カメラのレンズの向きや位置を動かして、ピントやパース(遠近感)をコントロールするティルト/シフトを巧みに用いて、都市や自然などの風景をまるでジオラマのように見せる作品で知られる本城。
高所から切り取られた街路や港湾や城などの人工物は高彩度と浅い被写界深度によってミニチュア模型のように浮かび上がり、人や車はおもちゃの駒のように見える。
現実のスケール感を撹乱し、都市の構造や人間活動のリズムを遊戯的かつ冷静に観察する。
今回は宇和島の上空から、町を構成する大切な要素である宇和島城や鯛の養殖場、闘牛場などシンボリックな場所を中心に撮影。コミッションワークが誕生する。
profile
1978年東京都生まれ。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業後、同大学大学院メディアアート専攻修了。
航空写真や望遠レンズによる浅い被写界深度を用いた独自の手法で、実在の都市や風景をまるでジオラマ模型のように写し出す作品で広く知られる。
2006年、写真集『small planet』で木村伊兵衛写真賞を受賞。
以降、都市景観や人々の日常、自然風景を独特の視覚効果で捉え、現実と虚構の境界を探る。
主な個展に、「(un)real utopia」(東京都写真美術館、2022)など。